睡眠障害の病態と治療法の解明、ヒトの生物時計の調節機序、認知症の睡眠と行動障害の治療
共著「睡眠障害・物質関連障害」(メジカルビュー社)、
共著「Textbook of Psychopharmacology」(American Psychiatric Publishing Inc.)、
共著「不眠症と睡眠障害」(診療新社)、
共著「臨床睡眠医学」(朝倉書店)、
共著「臨床精神医学講座13 睡眠障害」(中山書店)など
不眠は非常にポピュラーな愁訴の一つであり、不眠症は隠れた国民病とさえ言える。200万人以上の日本人が睡眠薬を常用し、特に高齢者での服用率が高く、その80%は一般身体科で処方されている。最近では処方箋なしで入手できる睡眠薬が市販され予想を上回る売れ行きを示しており、睡眠医療ニーズの潜在的な高さを物語っている。不眠の背景には、各種のストレス、交代勤務や夜型生活などのライフスタイルの多様化、運動不足、アルコール過飲などの不適切な睡眠衛生、種々の精神・身体疾患への罹患など、さまざまな生物・社会・心理的因子が介在する。不眠の背景にうつ病が潜んでいるケースも多い。不眠の早期発見と早期対処により自殺を予防する試みもなされている。
不眠症の治療に際しては、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群などの頻度が高く特殊療法を要するその他の睡眠障害の鑑別診断に留意する。睡眠薬は不眠症治療の第一選択肢である。しかし、高齢者では薬物代謝・排泄・感受性の加齢変化のため、翌朝の眠気の残遺、筋弛緩、基礎疾患への影響などが生じやすく、Risk-Benefit Balanceの確保が難しい。不眠症者ではしばしば睡眠時間を過小評価し、また眠りへの不安や眠ろうとする過剰な努力が不眠をさらに増悪させる。したがって不眠症者で認められる眠りに関する認知の歪みを矯正する認知行動療法が有効である。
不眠症の治療では、生活習慣の指導、適切な薬物療法、不眠に対する誤解と不安の緩和の側面から総合的にアプローチする必要がある。
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